2017-11-26

佛陀の九徳 〜 導入

(これはスダンマ長老から教えていただいたものを録音し、書き起こしたものです)

 佛教徒にはどうやってなるのでしょうか。

 他の宗教、例えばキリスト教であればバプテスマ、洗礼という言葉があって、神の聖なる水をかけてキリスト教徒になります。教会の中で冷たい聖なる水をかけて、キリスト教徒になる。そのように色んな宗教では信徒になる方法が決まっています。
 
 さて佛教です。どうやって佛教徒になりますかということを聞かれた時、お釈迦さまは「佛法僧に帰依することで佛教徒になります」と教えられました。
  
 次に佛教徒になった人はどうすれば優婆塞、優婆夷になりますかと聞かれましたので、「三帰依、五戒を守ることによって優婆夷、優婆塞になります」と答えました。だから佛教徒になったら、その人は、必ず五戒を守ることを約束しているんです。誰と約束しているかというと、自分と約束しています。お釈迦さまと約束しているわけではありません。戒律を守るとその結果は自分がもらえますので、自分と約束するんです。
 
 佛教徒になるためには三帰依もしなければなりませんから、その三帰依というのはどういうものかと、佛教徒はちゃんと理解しなければいけません。ただ buddhaṃ saraṇaṃ gacchāmi ブッダン・サラナン・ガッチャーミ、dhammaṃ saraṇaṃ gacchāmi ダンマン・サラナン・ガッチャーミ、saṅghaṃ saraṇaṃ gacchāmi サンガン・サラナン・ガッチャーミ、佛に帰依します、法に帰依します、僧に帰依しますという言葉を言うだけでは、三帰依したとは言えません。
 
 三帰依というのは心からやるものですから、佛陀とはどういうものですか、法というのはどういうものですか、僧という人たちはどういう人たちですか、とちゃんと理解しなければいけません。佛法僧の徳を、佛教徒になった全ての人々は少しでも、理解していかないといけません。
 
 佛法僧に礼拝する、buddha-vandanā、dhamma-vandanā、saṅgha-vandanāというお経、お経といっても経典の中にまとめられているもので、dhajagga-suttaという経典、dhajagga-parittaの中で、佛法僧の徳をお釈迦さまは教えられています。itipi so bhagavā arahaṃ, sammā sambuddho とか svākkhāto bhagavatā dhammo という偈、supaṭipanno bhagavato sāvakasaṅgho というその三つの佛法僧の徳です。それで我々も佛法僧に帰依して礼拝するために、この三つの偈を唱えることになっています。
 
 しかし、お釈迦さまの徳といったらもう数え切れない、この上ない功徳、徳があると言われているんですね。だからまあ我々が一般的に徳を理解するというのは、とても難しいことです。なかなか一般の人には、佛陀の九徳も理解してもらうのは難しい。
 
 お釈迦さまは教えます、
 
 buddho pi buddhassa bhaṇeyya vaṇṇaṃ
 kappaṃ pi ce añña mahāsamāno,
 khīyeta kappo viya degha mantare
 vaṇṇona khīyeta tathāgatassa.
 
 一人の佛様がもう一人の佛様の徳を話します。それも、寝ないで昼も夜もずーっと佛陀の徳を唱えることにします。そうしていくと、長い時間「劫」、世界が始まってから無くなるまでの間、その一劫の間、昼も夜も寝ないで佛陀の徳を唱え続けても、佛陀の徳は話しきれません、という意味です。
 
 佛にも佛の徳を唱えて劫の間に終わることができない、では一般の人たちはどうやって徳を理解するのか。だから我々にわかりやすく、全ての徳を九徳にして教えています。
 
 少なくともその九徳というものはどんなものかと、理解してほしいのです。それと同じように、法の六徳も理解しなければいけない。それから僧の九徳も。

 全て数えると24徳あります。佛法僧の24徳という言葉をよく使います。私たちもよく皆さんを祝福する時、この佛法僧の24徳を唱えて、その24徳の力で皆さんが幸せでありますように、と祝福するんです。佛教の僧侶の祝福とはそういうものです。決心というか決意、sacca kiriya サッチャ・キリヤ、本当にこの世の中に現れているものを唱えて、それは本当のことですから、その真実の力で皆さん幸せでありますように、とお祈りするんです。念じる、と言ってもいいと思います。
 
 他の宗教だと祝福はまた別ですね。神のご加護がありますようにと。一応私たちも佛陀のご加護がありますようにとか、三宝のご加護がありますようにという言葉を使うんですけど、それを使っているのは佛陀の徳の力で皆さんにご加護がありますように、という意味で使っているんです。
 
 それでは、これから佛陀の九徳を説明していきます。