2017-07-03

富士スガタ精舎の魅力


 富士スガタ精舎ご住職、スダンマ長老より、新たにこのブログに記事を投稿することを許可いただきました、さくらぎ瀞と申します。在家の観点からスガタ精舎、テーラワーダ佛教の情報を日本語で発信いたしますので、よろしくお願いいたします。


 スマナサーラ大長老のご活躍により、日本では小乗としか呼ばれていなかった教えが、今では上座部仏教、初期佛教、原始仏教、そしてテーラワーダ佛教という名前でこの国にも浸透し始めてまいりました。


 それとともに、「マインドフルネス」のブームで、テレビ等で瞑想が取り上げられることも多くなり、多くのテーラワーダのお坊様、大乗佛教のお坊様が瞑想指導をなさり、それぞれのところで活況を呈していると聞いております。

 
 やはりさすがはマインドフルネスの瞑想、どれもこれも(南伝)三蔵に基づいたものかどうかは私にはわからないのですが、瞑想することによって悩みが軽くなった、明るく前向きに生きることができるようになった等という話がネットを検索するだけでも枚挙にいとまがないことは、これをお読みの方ならよくご存知のことと思います。

 
 それはそれで大変素晴らしいことだと思います。もしその上でテーラワーダにより深く興味を持つことがあるのなら、それは更に素晴らしいことです。

 
 しかしそこで、では日本に於いてマインドフル瞑想のその先、テーラワーダで言う「涅槃」を目指す瞑想とはどういうものかと詳しく教えて下さるお坊様がいらっしゃるのかと考えると、現実はなかなか難しいと言わざるを得ません。


 これは決して、日本で瞑想を教えていらっしゃるテーラワーダのお坊様が深く教義を知らない、ということではありません。私が実際にお話を聞いたりネットや書籍等でお坊様がおっしゃることを拝見しますと、私のわかる限りでもやはりよく教義をご存知で、しかし現状日本の考え方や常識自体がテーラワーダの考え方とまるで違うところも多々あるようで、そこを方便を使って説法していらっしゃるという印象です。例えば食厭想や不浄随念などは、テーラワーダに興味がある私でも正直「ちょっと……」と怯んでしまいます。これを大々的に発表しようものなら、テーラワーダについての知識がない人たちに「佛教とはそういうものなのか」と勘違いされてしまいます。

 
 そこで、なぜそんな瞑想が必要なのか、それが涅槃とどう関係があるのか等、勿論既存の本にもヒントはありますし、自分一人で瞑想をすることによって答えを見つけ出す人ももしかしたらいるのかも知れませんが、そこはやはりテーラワーダの専門家に話を聞くのが一番です。より細かく、個人個人のレベルに合わせて道を導いて下さる、それがスダンマ長老でいらっしゃいます。

 
 まず、精舎が皆に開かれています。実際にはスダンマ長老は法要や在日のスリランカの方のお宅でのお食事のお布施等でいらっしゃらないことも多いのですが、大抵は他のお坊様がいらっしゃることでしょう(まだ日本語をしゃべることのできるスリランカのお坊様は決して多くなく、英語、または英語のしゃべれないお坊様だとどうしてもシンハラ語になりますが)。スダンマ長老も他のお坊様も、訊く人が真剣であれば、真摯に質問に答えてくれます。逆に変な意図があると、結構厳しいことは覚悟しておいた方が良いかも知れません。

 
 また、テーラワーダというと瞑想一色という印象を持っている方もいらっしゃるかも知れませんが、スガタ精舎はそうではありません。お坊様がいらっしゃる時には在日のスリランカの方がお食事のお布施によくいらっしゃいます。そこで説法もし、祝福もし、我々在家もそのお食事をいただきます。今はまだ敷地が大きい寺ではありませんので、そういった中で瞑想し続けるのは無理があります。でも、どうしても瞑想だけして過ごしたいという方には、寺の裏がちょうど竹藪になっていますので、まさにその林の中で瞑想三昧に過ごすこともできるのは他の日本のテーラワーダのお寺には無い魅力かも知れません。
 

 佛道実践会という合宿も行っています。しかし、これも他の瞑想実践会とは色が違うかも知れません。参加された方はご存知だと思いますが、まず無言行に徹しません。勿論瞑想の時間は無言行です。が、他の時間は勉強会というか質問会のようになります。こここそが、他にはないこの精舎の魅力です。例えば先ほどの食厭想や不浄随念などはどうしても大っぴらに話すことができない話題です。そういうものこそ、しかも他の修行者たちもいる前で質問しますと、みんなの役に立つというものです。
 

 私が思いますに、瞑想は個人個人で家でやれば良いと思うのです。でもなかなかできないので、特別な時間を作って自主瞑想会もしますし、お坊様がいる前で瞑想実践をすることも素晴らしいことです。でも、この精舎でも同じことをする必要はないのではないでしょうか。スダンマ長老の瞑想指導はアナパナですが、アナパナで指導なさるお坊様も他にいらっしゃいます。せっかく日本語でテーラワーダを語っていただけるスダンマ長老がいらっしゃるのですから、他ではなかなか突っ込むことのできない、深い教義の世界に浸ることができる、それこそが富士スガタ精舎の魅力です。